スイフトスポーツ
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田嶋 直信 (モンスタースポーツチーフエンジニア/スズキJWRC株式会社/スズキスポーツ副社長)
【JWRCのノウハウがそのまま活きた、モンスターGTウイング】
-この頃になると、モンスタースポーツの市販パーツがどんどん増えて来て、日本でもカスタマイズを楽しむ方が増えて来ましたね。
そんな方に向けて、リヤウイングやボンネットフードなど色んなパーツをリリースしましたけれどもこれもJWRCで培った色んな経験が生きているという事なんですか?

「リヤウイングは、この時代に開発した流れを知っていて良い所は全部取り入れるので、先ほどの翼断面形状もそうですし、色んな空力な効果だったり、ガーニーフラップ調に仕上げたり、そういう物は基本そこで培ったノウハウをそのまま入れています。
ボンネットはラリーやっていく中で、我々のラリーカーではそれを反映するまでに行かなかったのですが、他社のラリーカーでセンターに開いているとアクロポリスみたいなラフ路を走ったり、イギリスの泥濘地みたいな所に突っ込んだ時に、その穴から泥とか埃が噴き出して、前が見えないなんていう事があったんです。」

-ドライバーびっくりするでしょ

「その後から皆センターを避けて、今のサイドの位置にずれて行って、もし何かが出てもちゃんと視界が確保出来るという形でラリーカーの方はサイドの後端の方に 位置がずれて行った。
モータースポーツとか車好きっていうのはそういう流れを汲んでいる方が喜ばれますので、サイドの方に穴を持って来ているという流れでやっています。」






【エアロダイナミクスよもやま話:そもそもウイングの形状の意味って?】
-モンスタースポーツのリヤウイングって、ボディのルーフの後端からちょっと浮かした所に横バーがあって、その両側に翼端板って言うんですか?板が付いているじゃないですか。
それってどういう意味があるのですか?

「最近の飛行機で主翼とかを見ると、両端がはねあがっていますね。あれですごい燃費が伸びるんです。
まっすぐな翼だと、ここで渦が出て悪さをするのと、上と下の圧力が違って上の圧力が低くて、下の圧力が高い状態なので、高いところから低いところへ空気が逃げてしまう。それを止めているのが、あの先端なんです。それを裏返すと、リヤウイングの翼端板になるんです。
スタイリングとバランスすると横のラインとかを加味して、良い所のラインを決めていますけれども、基本は空気が逃げて行かないようにあるいは悪さした空気が入って来ないような処理です。」

-空を飛ぶための飛行機の反対が、地面に押し付けるためのウイング。今スッと入って来ました。ちゃんと意味があるんですね!




【ラリージャパン:スイフトスーパー1600の雄姿を日本のファンに】
-ZC31がJWRCで大活躍しましたけれど、その時代にはラリージャパンがあって、そこで粟津原選手がそのスーパー1600のステアリングを握って大活躍しました。

「ラリー北海道はラウンドじゃないんです。
でもスズキは日本のメーカーだし、我々も日本のチームだし、やっぱり見てもらいたい。そういう想いで、うちの代表の田嶋がラリージャパンは出るべきだろうという事で、そういう流れになりました。」

-やっぱり嬉しかったでしょう

「ああいう所で、来ている方の反応も良かったので、“スイフトだ!スーパー1600だ!”とか、小排気量のNAの高回転型を聞くと喜んで下さった方も多いように感じました。
皆さん非常に良い車で良い走りをしていたと思いますけれども、その中で番付で言うとかなり上の方まで迫る、あるいは脅かすような事が見せられたんじゃないかな。
世界戦走っている車っていうのは、この排気量のこのクラスでも、こういう走りが出来るというのを見ていただけたのかなという風に思っています。」




【3度のJWRCチャンピオンを獲得したスイフト、その強み】
-JWRCでは結局3回世界チャンピオンになった。改めて良くやりましたよね。

「“アルトと同じ足だよな”って我々の会話がスタートして、“でもこれしかないんだよ、やるしかない”
そういうスタートでしたけれども、あの足自体は、うちの粟津原がアルトで全日本ラリーでずっとチャンピオンを取っていた車の足が、あの足でしたし、十分セッティングとチューニングで、チャンピオンを取れる足になったと。
シンプルで強かったのもありますが、やっぱり走りこんでセッティング出来たっていうのが良かったのかな。
もう一つの話としては、ターマックステージとグラベルステージが明確に分かれていて、両方の足を作らなければいけなかったんです。
ターマックステージはぐっと車高を落としますしグラベルだと車高を上げる。
車高を上げる方は、元々のオリジナルで良かったのですが、車高を下げる方は、車高を下げると普通はストロークが全然なくなってしまいます。
ストロークがなくて、すぐに底付きするような足だと、競技車としては非常にきついのですが、取付点自体をずらして、車輪の付いている位置をずらすような処理が構造上出来たものですから、サスペンションのストロークをそんなに殺さずに 車高を下げる事が出来た。」

-ライバルの複雑ないかにも「すごいぞ」っていうサスペンションに対して、ある意味アドバンテージがあったんですね。

「シンプルな足でも非常にいいハンドリングです。」






【JWRC以後:スイフトスポーツ ZC32S型 登場】
-JWRCが終わって、ZC32型になると世界戦への出場はなかった。ただモンスタースポーツのチューニング、それからスタイリングの方もどんどん進化して行きますよね。

「これはやっぱりラリーに出てないにしても、我々自体が車好きの集団ですから、より良い車で、より格好いい車で、より楽しい車で車好きの人に乗ってもらいたいという所から、そのベクトルは同じで、作り続けて行ったし、今もいるという流れです。」


【JWRC以後:究極のスイフト「スーパースイフト」】
-ZC32の時代には、異端児が出てきましたよね?スーパースイフト、あれは何だったんですか?

「WRCカーというのを、スーパー1600の次のプロジェクトとしていまして、あれも我々としては結局一年しかできませんでしたが、3年位のところで頭角を出したいという風な想いでやっておりました。
その想いがくすぶっている中で、良い素材の車だから、その想いをぶつけた“こんな車作ったけれども、皆さんどう思います?”みたいな提案をしたかった。
それにかかる手間は大変でしたけれども(笑)」 

-1900ccで421馬力 四輪駆動 凄まじい中身だったんですね。

「ちょうどあの時代にS2000というカテゴリーもスタートしようとしていた。
そういう風な自己開発的な事もあったりしたので、その想いとWRカーが終わった想いというのを混ぜて、あの車に仕上げたみたいな所で、また何かに繋がって行かないかな、みたいなところでしたね。

-東京オートサロンとか、新城ラリーとか、たくさんの皆さんがあの車を見て、大喜びしていました。
そしてその走りに見合ったエクステリア、これも魅力的でしたよね。

「そういう提案をすると同時に、デモカーだったり、うちのパーツ・部品の PRも兼ねていたものですから、リヤウイング、ボンネットフードは市販の物をそのまま付けています。フロントグリルもそのままカーボンのグリルをリリースしていて、当初はそれと同じデザインで仕上げていました。
現在は次の製品となるエアロダイナミクスバンパーと同デザインの物になっています。
ですからフェンダーとかは、スーパースイフト用にデザインを起こしましたけれども、使える物は使って、皆さんと同じ部品がこれにも使われていますみたいなアピールでもありました。」

-そのパーツを買った人にとってはすごく嬉しい

「そうですね。全く同じです。同じ型で作っています。」










【新型スイフトスポーツ ZC33S登場!】
-そしていよいよZC33の時代がやって参りましたが、これまでにもモンスタースポーツの色んな方にお話を伺って来たのですが、田嶋直信さんの担当分野では、ZC33をどういう風に料理して行こうと考えていますか?

「私は基本的に内外装というか、空力、デザインパーツがメインなのですけれども、このスイフトスポーツが出て、基本ボディは同じなのですが、日本国内の標準車に比べると、ちょっと拡幅されていて前後バンパーが変わっている。 一番は車としては良いフィーリングのエンジンが積まれていた事が大きいのですが、 “乗って十分ポテンシャルがある車”に負けないようにスタイリングというか、そういうまとめ方が出来ればと思っております。
リヤウイング、ボンネットフード、内装系のメーターフードといった物は この車を買って下さった方は、やっぱりスイフトスポーツが好きで買って下さったのでしょうから、まずその辺の定番的な部品を揃えまして、少し様子見ながらさらに魅力を上げるには新しい衣装を少し加えたバンパーであったりとか様子を見ながら進められればと思っています。
いずれにしても非常に楽しめる車だと思いますし、この性能でこの価格っていうのはリーズナブルな車だと思うので、これをベースに楽しんでいただける車を少しでもバックアップ出来ればという風に思っています。

-楽しみですね。どんな物が田嶋直信さんの手によって作り出されるのか。

「うちのスタッフみんなでワイワイ言いながら進めています。ご期待下さい。」






新型スイフトスポーツZC33S用のエアロパーツも続々開発中!お楽しみに!

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