皆さんの応援のお蔭でワールドレコードを樹立することが出来ました。
レースを振り返ってみると、あらためてパイクスピークオートヒルクライムの偉大さと、記録に挑戦する厳しさをひしひしと感じます。
私がパイクスへ最初にチャレンジした1988年から20年を経た今年、記念すべき第85回大会で、また私自身にとっても20年目の節目となる挑戦で、この偉大なレースの歴史に日本人の名前を刻むことができて、本当に感激です。
■ レースレポート
21日当日の朝は雲ひとつない晴天。
アメリカ国歌斉唱、続くいくつかのセレモニーを終え、盛り上がりが最高潮の状態で1号車から順にスタート。
これまでのパイクスピークではスタート順は2輪車部門が先でその後4輪車部門でしたが、ここ数年いつも4輪車部門の後半で悪天候に見舞われていたため、今年は4輪車部門が前半に走ることになり、私はその4輪グループの最後にスタートしました。
スタートからのロアセクションはアスファルト路ですが、ところどころイン側の砂が
出ていて非常に滑りやすい状態でした。慎重にラインを選びピクニックグランドまで進みます。
それを過ぎると最初のグラベル区間に入ります。
予想以上に砂利や砂が載っており、また昨晩の大雨のせいもあって、滑る箇所やえぐれた箇所が多く、いまひとつスピードが乗り切らず、少し焦りを覚えました。
しかし、中間地点のグレンコブに待ち受けていた観衆が大声援を送ってくれているのをみるとタイムもそう悪くないようで、少しほっとして、続くアスファルト区間へと進入しました。
ミドルセクションはダブルカットを過ぎると急激な登り区間へと入ります。
このとき既に標高4000m付近のため、だんだん息苦しくなってきており、同時にエンジンのパワーダウンも大きくなってくるため、走りづらさを感じていたのですが、途中デビルスプレイグランドに多くのファンが待ち構えていて、中には日の丸を振っている
人々の姿もあって、非常に勇気付けられました。
そして最後のアッパーセクション。
アッパーセクションは私の得意な区間で(プラクティスで新記録を出しました)、高速のグラベル区間が続く、最もパイクスピークらしいコースといえます。
しかし路面状態はロアセクションのグラベル区間より更に悪く、一生懸命攻めても
スピードが上がりません。
パイクスピーク用に開発されたファルケンタイヤのおかげで、何とかコース上にとどまっているような感覚でした。
終盤は、あせる気持ちと裏腹に呼吸はどんどん苦しくなり、私も、そして搭載しているエンジンもターボチャージャーも、空気を求めて喘いでいるような状態でした。あと僅か、と呼吸の苦しさに耐えながら、またマシーンをいたわりながら、ようやく見えてきたゴールに飛び込むと…
記録されたタイムは10分1秒408。
ワールドレコード書き換え達成、そして初のアジア人のチャンピオンとなった瞬間でした。
10分の壁には僅かに及びませんでしたが、路面状態を思えば良いタイムといえ、今年の結果にとても満足しています。
同時に、もし次回の挑戦に向けて、試してみたい改善案やアイデアが今年のレースからたくさん浮かび上がってきました。考えただけでわくわくします。
最後になりましたが、今回パイクスピークチャレンジにご協力いただいた多くの方々へ、また応援くださったファンの皆様へ、そしてチームの皆へ、心から感謝申し上げます。
それではコロラドスプリングス パイクスピークより
スズキスポーツ 田嶋伸博
■ Race Day3
Driver |
Car No. |
Halfway Picnic Ground |
Glen Cove |
Sixteen Mile |
Finish Line |
NobuhiroTajima |
1 |
01:42.197 |
04:29.191 |
07:03.878 |
10:01.408 |
パイクスピークの第85回大会において、“モンスター”ことスズキスポーツ代表田嶋伸博がついに、13年間の間破られることの無かったロッド・ミレンのレコード(1994年、10分4秒)を破り、新たなワールドレコードを樹立しました。
ボトムセクションPicnic Groundで1分42秒197、Glen Coveで4分29秒191、16マイル(=約25.75km)地点で7分3秒408、フィニッシュラインで10分1秒408。
これが、今回モンスター田嶋とスズキスポーツXL7ヒルクライムスペシャルの記録したレコードです。
ギネスのレコードブックに載るという話も出ています。
しかし、モンスター田嶋は、この結果を喜びつつも、今や新しい目標を見据えてチャレンジの計画を練っています。
―10分の壁を破る
今回のレコードブレイクは、終点ではなく新しい出発点。
自身のレコードを上書きし9分台のタイムを記録するべく、スズキスポーツとモンスター田嶋の新しい挑戦が始まります。
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