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1. ボディ補強は必要ですか?利点は何ですか?

通常の使用方法では車両の剛性不足が問題になることはありませんが、サーキットやダート場で使用する車両の場合、弱い部分を補強することで、反応遅れを防いだり、車両の劣化を遅らせることができます。

【1】限界走行の際に反応を悪化させない
競技で使用するときは、速度が高く、強化サスペンションやハイグリップタイヤの効果もあって、サスペンションやボデーには大変大きな力が働きます。ステアリングやサスペンションが機能する(動く)前に、取り付け部が歪むとドライバーは反応遅れを感じます。反応遅れがあると、違和感を感じると共に、正確なライン取りができなかったり、走行が安定しません。

【2】大きな力を受け止め、変形や破損を防ぐ
競技やスポーツ走行では、本来想定された力よりも大きな力がかかりますので、その力を分散させたり、受け止める強度が必要になります。補強材を取り付けることで、サスペンション取付部など、外力を受け止める部位の受け止める力を大きくできます。
(事故など、極端に大きな力が掛かった時は、変形の範囲が大きくなることがあります。Q3参照)




2. ボディ補強の方法を教えてください。

補強の方法は競技のレギュレーションや、必要な強度によって様々ですがバーをボルトで固定する簡易的な方法から、溶接で板やバーを固定する特殊な方法まであります。

【1】既存のボルトを用いて補強材を取り付ける方法
(ストラットタワーバーなど)
ストラットタワーバーやパフォーマンスメンバーなどは、車両のボルトを用いて共締め(一緒に締め付け)する、最も一般的な方法です。
車種別に設定されていますが、車両の仕様やオプションパーツによって同じ車種でも取り付かないこともあるので、適合確認できていない車両への取り付けはできません。 また、多くのメーカーから様々なものが販売されているので選ぶ楽しみはありますが、取り付け位置や構造、取付性、そして材質、重量などはそれぞれ異なり、耐久性や効果が低いものもあるので気をつけてください。

【2】穴を開けて、専用のロールケージを取り付ける方法
Keiスポーツのワンメークレース用に開発したロールケージはKeiスポーツレース車専用の工場でボデーに穴を開けて取り付けています。
ロールケージはその名の通り、ロール(転倒)した際に乗員を守るケージ(かご)で、安全装置に分類されますが、高強度の材料が使用され、強固に取り付けられているため、ボデー全体の歪みを減らすことができ、補強材としての効果も大きくなります。様々な競技用の市販品もあります。車種別設定でも取り付けには特殊な作業を伴うため、一般の整備工場や板金工場では取り付けができません。また、室内が狭くなったり、乗車定員の変更が必要になるものもあります。


【3】ボデーの骨組みの中に発泡ウレタンを充填する方法
車両の側面骨格(サイドステップ内)の中に発泡ウレタン材を充填する方法は、近年、チューニングカーを中心に広まりました。ボディー構造を活かしながら主要な骨組みを強化するので、応力が集中しません。また、材質がウレタンなので 非常に軽量です。施工作業は非常に難しく、高度な技能と経験が必要なので、レース車両のメンテナンスガレージでも一部でしか実施できません。

【4】溶接による補強
レギュレーションによりますが、国内や海外の最高峰のレース車両で用いられる方法が溶接です。標準車で接合された部位のスポット溶接を増加させたり、張り合わせ面をさらにもう一度溶接する方法は広く用いられます。イグニススーパー1600などトップカテゴリーの車両は、専属の設計者が補強バーの形状や構造、数量などを三次元解析して最適化するのが一般的です。標準ボディーとロールケージを併せた、安全で強いボディーが新規に設計されます。

 




3. ボデー補強による弊害があれば教えてください。

【1】重量が大きくなります
補強の効果を得るために強度の高い材料を用いると重量が大きくなります。特にスチールやステンレス製の製品は重くなります。重量が一定以上に大きくなるものは、車検証の記載事項を変更する必要があります。

【2】大きな衝撃や事故の際に、破損が広範囲に及ぶことがあります
事前に想定されていない部位に力がかかることがあるため、衝撃や事故などで特に大きな力がかかった時に、破損や変形箇所が広範囲に及ぶことがあります。スポーツ走行の前と後で、取り付け状態と、周辺部への影響を点検することをお勧めします。

【3】室内の補強材に乗員が当たると怪我をします
室内に補強材が露出する場合は、乗員が金属の補強材に当たって怪我をすることがあります。乗員に近い位置に補強材が通るロールバーは、ロールバーパッドと言われる緩衝材を用いて被覆します。




4. ストラットタワーバーを、自分で取り付けたいと思いますが..

市販されている多くの製品は車種別で設計されていますが、取り付ける箇所は車両の主要な構造物であることが多い為、 個人での取付はお勧めできません。
車両の構造物は非常に大きな締め付けトルクのボルトで固定されており、緩めることが難しい上、緩めたとしても本来の締め付け力で締め付けできなかったり、ネジ部を損傷させることがあります。取り付けが不完全だと、車両の主要部品が緩んだり、外れたりして大変危険です。